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第39話 信用 その2
 以上、これは保険会社の例だが、同じことを銀行でも経験している。コスタリカには、普通業務の国立銀行が二つあり、今までその一つを利用していたのだが、とにかく何をするにも並んで時間が掛かり(ひどい時など1時間から2時間も待つことがある)、すいている私立銀行に変えることにした。日本だと、自行に新しく口座を開いてく れるお客様ということでとても喜ばれるのに、私が開いたI銀行はとても事務的だった。数千ドルを準備してすぐ開けるように行ったのだが、窓口嬢に以下、冷たく言い放たれた。

1.当行に口座を持っている人2名の推薦状
2.何らかの公共料金の領収書(住んでいる場所が書かれているので、本当に住んでいる人間かのチェックに使うらしい)
3.身分証明書(外国人の場合はパスポートも可)の提示

の3点が必要。それらを用意してもすぐ開けるわけではなくて、審査で数日待たなければいけないらしい。不正なお金の流れでも心配しているのか、身元のはっきりした人のための銀行です、ということなのか。修理工場といい、何処へ行ってもわかりやすい説明を受けられない。つたない語学力しかない私には、「(お宅はどうあれ)当社はこういうシステムでございます」と言われているようで、「はい、そうですか」と割り切って、言われた通りに行動するしかない。

 そんなかんなで私立銀行に口座を持てた私は、国立銀行に預けてあるお金を少しずつ 移し始めたが、そこでも「信用」のニ文字が浮かぶ事柄に出くわした。国立銀行から下ろした直後に、数千ドル相当のドル紙幣を持っていったのだが、窓口の係員は日本のように機械でバーと数えるのではなく、まず幾らあるか手で数えて、それから一枚一枚紙幣をチェックする。触感と視覚の両方から念入りに調べ、ちょっとでも破れていると返される。「これは今、N国立銀行からおろしたものですけど」と言っても、 「ふんふん」とうなずくだけで、つき返される。要するにこの私立銀行は、自国の国立銀行にあったドル紙幣を信用していないということだ。いや、お金を持ってきた客の、「国立銀行からおろして来た」と言う台詞も信用していないということだろう。 信用できるのは、目の前にある紙幣のみということか。

 一枚一枚チェックをしたら、数えて、さらにまた数える。コロンの場合はそんなに念入りではないが、ドル紙幣、しかも100ドル紙幣となるとその念の入れようはすごい。数えられている私は、そんなことはないはずなのに、偽札でも入っていたらどうしようかと、一瞬不安な気持ちになる。私がちょっとでも目を離した隙に、数えている窓口の人の手が手品師のごとく、偽札か破損した紙幣を入れたり、また数え間違えをしないかと、こちらも疑いの目をもって凝視してしまう。

 余談になるが、偽札といえば、こんなことがあった。コスタリカ大学のスペイン語コースを受けていた時のこと。今は授業料を前もって銀行振込するのだが、私が通っていた当時は、文学部の窓口に支払いに行っていた。受付の女性は、手書きで領収書を作成してくれる。その時、ご丁寧にも、450ドル分の紙幣一枚一枚の番号を領収書に書き写していた。何のためにそんなことをするのか、今ならピンと来るが、当時はあまり気にもしなかった。後日、クラスメートの一人が事務所に呼ばれたが、彼女の払った紙幣の内2枚が偽札だったそう。

 「国立銀行でおろしたのに・・」と彼女は憤慨していた。何と言っても、領収書には一枚一枚の番号が書かれているので、その紙幣が偽札だと言われれば払い直すしかない。彼女の言を信用すれば、彼女はドル紙幣2枚分を余計に払うことになってしまったわけだ。お気の毒。
 

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